レポート:アーティスト報告会

5月7日(金)にICCで、札幌在住のアーティスト高橋喜代史、斉藤幹男両氏によるアーティスト報告会が開かれました。
高橋さんは、札幌で活躍する現代美術アーティスト。マンガで目にする「ガガガ」、「ドドド」といった擬音語や擬態語をモチーフに立体インスタレーションを制作したり、墨を噴射してパフォーマンス・ペインティングなどを行なっています。
2月末から約1ヶ月にわたり、ICCとNPO法人S-AIRがアーティストレジデンス事業で交流のある、国際交流基金の紹介で、ニュージーランド・オークランドのUNITEC大学に滞在し、ワークショップなどを行なった様子を報告して頂きました。
高橋喜代史さん
大学で行なったワークショップのテーマは、カタカナの「ド」。ニュージーランドや自分らしさを表現して「ド」を制作する、というのが課題です。
参加メンバーは、大学で写真、ジュエリー、デザイン、クラフト、映像などを学んでいる生徒達。
ニュージーランドで身近に生えている葉を素材にしたり、日本文化を勉強している生徒が「禅」を意識して、細い糸を使って繊細さを表現したりと、それぞれの思いが込められた作品が並び、感慨深かったそうです。
また、日本語の通訳がいるなど、サポート体制がしっかりしていたので、安心して制作活動に集中できたと話して下さいました。
たくさんの「ド」は、大学内にあるギャラリーで展示された
続いては、アーティストの斉藤幹男さん。
6年間のドイツとイギリスでの創作活動を経て、2009年に拠点を札幌に移し、映像インスタレーションをメインに活躍しています。
ICCがNPO法人S-AIRと共に募集した国内短期派遣アーティストとして選ばれ、3月上旬から2週間、京都府舞鶴にある、旧日本軍が使用していた赤レンガ倉庫を活用して、アートプロジェクトを行なっているNPO法人MAIZURU RBに滞在した様子について話して頂きました。
斉藤幹男さん
斉藤さんのプロジェクトは、舞鶴市内の子供たちと共に、彼らが描いた絵で映像アニメーションを制作し、その映像をバックに、赤レンガ倉庫で札幌のロックバンドと舞鶴在住のミュージシャンのセッションライブを開催すること。
着いてすぐに地元の幼稚園や小学校を見学した斉藤さん。幼稚園での絵に対する教育が熱心だったこと、そしてなにより子供たちの創造力が想像以上に高かった事に驚いたそうです。
斉藤さんの描く絵を真剣に見つめる舞鶴の子供たち
自分たちの描いた絵が、アニメーションとして動く姿に嬉しそう
舞鶴には、ライブハウスがなく、地元のミュージシャンを探すのに苦労したことや、地元の新聞社や学生の協力により、ライブには100人近い人が集まり、子供たちも親御さんと一緒に来てくれた事がとても嬉しかったと話して下さいました。
子供たちが制作した映像をバックに行なわれたミュージックライブ
報告会の最後には、現在ICCとNPO法人S-AIRのレジデンス事業で、招へいアーティストとして来日している、タイ出身のアート・パタヴィー・ヴィラヌヴァットさんと、ニュージーランドから来たスティーブ・カーさんの紹介もあり、会場に来ていた人との交流を深めていました。
自己紹介をするアートさん(中央左)と、スティーブさん(中央右)
会場のお客様も、アーティストの報告に興味津々です