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株式会社ニューピークフィルム

「ダーウィンが来た!」、「さわやか自然百景」、「北海道遺産物語」。
誰もが知っているこれらのTV番組の撮影や制作に関わり、質の高い映像ライブラリをもつ会社がここ札幌にある。
株式会社ニューピークフィルム
ハイビジョンの黎明期からその可能性に着目し、高い技術力でハイビジョン映像に特化してきたプロの映像集団だ。
同社で制作と営業を担当する藤原聖士さんに話をうかがった。

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個性派揃いの映像の"匠"たち

2003年に有限会社として発足したニューピークフィルムは、2年後の2005年からICCに入居し、株式会社として新たなスタートを切った。
設立当初から会社を支えているのは、「三度のメシより撮影が好き」という、3人の匠たち。

代表の新山俊彦さんは、自然を相手にした映像の撮り手として良く知られた存在。NHKの「生き物地球紀行」、「地球ふしぎ大自然」などのメジャーな番組を担当し、1年の半分近くを海外で過ごすという強者だ。
橋本孝幸さんは芸術性の高い映像を得意とするカメラマン。かつてHTBで放送されていた「北海道遺産物語」の大部分を手がけたほか、NHKの番組制作にも参加し、自身の映像ライブラリを作りたいという志向をもつ映像の匠。
そして藤原さんはサウンド分野のプロフェッショナル。音を含めた映像の編集を得意とし、番組制作、企業向けPR映像の制作などをオールマイティにこなす。

いずれ劣らぬ個性派揃いの3人が中心となり、各々の得意分野で実力を発揮しながら高品質な映像を数多く生み出している。

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左から、お気に入りの露出計を手にする橋本孝幸さん、アルバイトの稲田恭平さん、代表の新山俊彦さん、お話を伺った藤原聖士さん

 

ハイビジョンへの特化とICCへの入居が事業の転機に

ニューピークフィルムの最大の強みは、早くからハイビジョンに特化し、ハイビジョンカメラを使った撮影の実績とノウハウを積み上げてきた点だ。
「地上波デジタル化の動きもあり、間違いなく映像の高精細化が進むと考えていました。当時は機材が高価でリスクもあったのですが、デジタル化を見越してハイビジョンのコンテンツを撮り貯めていたほうが良いと判断したのです」。
こうして、高額の投資をしてハイビジョンカメラを取得し、ニューピークフィルムは道内初のハイビジョン専門会社の道を進むことになった。

同時にその頃、ICCの存在を知り、2005年からICCへの入居が決まったことがひとつの転機となった。
入居費用が安く抑えられたことや、ICC内にあるデジタル工房を使い、編集作業が効率的にできたこと、ICCに入居する様々なジャンルのクリエイターとのコラボレーションが可能だったことなど、ICCに入居した利点は数多くあったが、中でもニューピークフィルムの存在を多くの企業に知ってもらうことができた点が特に大きかったという。
「ICCは非常に注目されていたので、企業の方の視察や見学が多かったのですが、ハイビジョンに関心を持つ会社の方も来るようになって、ニューピークフィルムの知名度が上がり、仕事の機会も増えていきました」。
当時、ハイビジョンに対応している会社は他にも数社あったというが、メインでやっているところはニューピークフィルムが唯一だったこともあり、注目を浴びた。

こうして、NHKをはじめ、テレビ局のメジャーな番組の撮影や制作の機会を数多く獲得し、"ハイビジョンのニューピークフィルム"が定着していった。



ニューピークフィルムのオリジナル映像のデモ。そのクオリティの高さには驚かされる。



高い技術力を活かし、映像のライブラリ化を推進

ハイビジョン映像を追求する中で、独自の展開も進めてきた。番組の撮影や制作など、クライアントからの受託だけではなく、自然に係る映像を中心としたオリジナルの映像を蓄積し、ライブラリ化して提供する自主事業の推進だ。
海外の自然や北海道の春夏秋冬を映像として蓄積することに力を入れており、海外には1年に1度のペースで自主制作・撮影に出かけているという。
昨年はオーストラリア、その前年には氷河の撮影のためにアルゼンチンに約1ヶ月滞在するなど、予算を効率的に組みながら、オリジナル映像のストックを増やしつつある。
また、映像と同時に音源のライブラリ化も進めており、ノイズ音をはじめ、多様なサウンドをサラウンドで蓄積している。

「ライブラリの直接的な利用もさることながら、オリジナルの映像素材を番組の中で使用するなど、ライブラリを持っていることで作れる番組もある」といい、ビジネスチャンスを広げるうえで、ライブラリの構築は重要な意味を持っている。
今後、さらに優れたオリジナルや音源の蓄積が進み、より魅力の大きいライブラリになっていくことだろう。

 

さらなる高精細映像"4K"への挑戦

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高精細な4Kカメラを使い、新たなビジネスチャンスを狙う


このように、早くからハイビジョン映像に対応してきたニューピークフィルムだが、映像分野の技術進歩を受けて、また新たなチャレンジを始めた。
ハイビジョンの4倍の解像度を持つ"4K"映像への対応がそれだ。
このたび、ハイビジョンに対応した時と同様、投資をして4K用カメラ"RED ONE"を取得した。
映画撮影に使われるというこのカメラを使って、オリジナル映像の撮影を行うほか、映画の撮影にも参加する予定だ。

「これまでハイビジョンで培ってきたノウハウや技術力は、4Kになっても必ず生きてくると思っています。画角に対する芸術性、何をどういう角度でどう撮るべきかといったことはもちろん、機材に特有のクセを理解しながら、撮影時のトラブルにも対処できる力は、現場を数多く経験しなければできないことです。これまでの経験や実績を活かしながら、4Kの特性を引き出せるような撮り方のノウハウをどんどん蓄積したい」と藤原さん。
昨年10月、第4回札幌国際短編映画祭の一環として開催されたセミナーの中で、4K用プロジェクターのメーカーと連携し、ニューピークフィルムが撮影した4K映像を生で見てもらう機会を作るなど、既に意欲的な取り組みを始めている。

4Kと同様、3D化の動きも注視しているといい、こうした果敢な挑戦が新たなアドバンテージを生んでいくに違いない。 



欲しい人に、欲しい映像を届けられる企業に
 

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「デジタル工房をはじめ、ICCの創作環境は素晴しい」と語る藤原さん

 ニューピークフィルムは、2008年からICCのサポート企業となり、ICC内のデジタル工房の運営と利用者サポートを行っている。
「デジタル工房は、ネットワークを使ってハイビジョン映像を編集できる環境が秀逸です。端末が3台ありますが、いつでもどこでも同じ環境で編集できる点が素晴らしいですね。音の面もサラウンドで編集できるので、十分な環境です。プロ仕様の条件がそろっていて、こうした環境をプロから学生までがリーズナブルな費用で利用できる環境を使わない手はありません」と、藤原さんはICCの創作環境を高く評価する。

「当社も数年前からアルバイトを採用し、若い人材を育てています。技術を持った若い人たちが育てば、この業界も楽しくなります」。
ICCへの入居が同社のビジネスの大きな転機になったこともあり、可能性のあるクリエイターを育む場としてのICCには強い期待を寄せている。

「いまはクロスメディアの時代。フィルム、ビデオ、スチル、それに最近はデジタルサーネージといった高精細な電子看板も登場してきました。クロスメディア化の動きにあわせて、映像を必要としている人に、必要な映像を届けられる環境を作りたいと考えています」。
そのため、「絶えず色々な場所で映像を見てもらう機会を作りたい」とも。
ぜひここ札幌から、映像の匠たちが作り出す作品を発信し続けてほしい。

 

BGM:渡辺崇(Junkan Production)

 

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■株式会社ニューピークフィルム

http://www.newpeak.jp/
http://www.youtube.com/watch?v=TXnRwpmaxTw

ニューピークフィルムは、
3月5日(金)16時より東京で開催予定の"
ICCフェスティバル2010"
(場所:内田洋行東京スペース-ユビキタス協創広場 CANVAS-)
に参加し、プレゼンテーションを行う予定です。ぜひ足をお運びください。

 

取材・文 佐藤栄一(プランナーズ・インク