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レポート:映像コンテンツ国際連携セミナーin夕張

「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」の開催期間中の2月27日、夕張の街でもう一つの大きなイベント、「映像コンテンツ国際連携セミナーin夕張~国際連携による次代の映像ビジネス」(主催:北海道経済産業局)が開かれました。
 

dai.jpg


このセミナーには、韓国、オーストラリア、そして中東のヨルダンから映像分野のキーマンが集まり、各国の映像産業、人材育成の現状に係る情報交換や今後の 連携可能性についての意見交換が行われました。

stage.jpg右から) ヨルダン、オーストラリア、韓国、北海道の映像分野のキーマンが登壇


韓国からは著名な映画監督で、韓国総合芸術学校映像院教授も務めるパク・カンス氏が登壇。
「韓国には映画学科のある大学が約50校あり、非常に競争率が高い」という現状を紹介し、さらに、パク氏が教授を務める大学では、「学生だけでなく、外部の人が映画を作る場合にも制作費の7%相当額を支払えば大学の機材や施設を使うことができる」といった支援策の存在も明らかにしました。
 

paku.jpg韓国総合芸術学校映像院教授、映画監督のパク・カンス氏


オーストラリアからはクイーンズランド州の映像産業振興センターQPIXの代表、ケリー・オローク氏が参加。
「QPIXは大学と産業の中間に位置し、映画を作りたいと考えている多くの人たちに対し、ビジネストレーニング、技術指導、機材や施設の提供、制作に関するアドバイス等を行っている」とした上で、「若手の人材がキャリアを築く場合、たくさんの人と一緒に働き、指導を受ける機会が重要」と指摘し、「アジア太平洋地域が連携し、色々な文化が融合した映画をつくりたい」と提案しました。
 

kery.jpgオーストラリア クイーンズランド州の映像産業振興センター[QPIX]の代表、ケリー・オローク氏


ヨルダンからのゲストは王立フィルムコミッション代表のジョージ・ディビッド氏。
「7年前にフィルムコミッションが設立されたことで、海外のメジャーな作品のロケの誘致にも成功し、それまで映像産業と呼べるものが全くなかったヨルダンに少しずつ映像産業が根づきつつある」と話し、「近年は人材育成に力を入れ、米国のサンダンス・インスティチュートと連携し、周りに何もない砂漠に15人の脚本家を招いてプロジェクトを行っている」と、その意欲的な取り組みを紹介しました。
 

george.jpgヨルダン王立フィルムコミッション代表 ジョージ・ディビッド氏


セミナーのコーディネーター役を務めたさっぽろフィルムコミッション(SFC)の井上俊彦氏は、ヨルダンやQPIXと同様に、SFCが単なるロケ誘致機関ではなく、人材育成と雇用機会づくりを意識的に行っている現状に触れ、特に近年は、高校生、大学生、専門学校生等の若手人材に制作機会を与え、やる気のある人材を多数発掘している事例を紹介しました。
 

inoue.jpgさっぽろフィルムコミッション 井上俊彦氏


4つの国・地域の現状や取り組み内容から、各々が映像産業の重要性に対する認識、人材育成への注力、公的機関による支援等、多くの点で共通点をもつことが明らかになり、この共通性を活かし、4地域が連携して、映像産業や人材育成に取り組むことが提案されました。
これを受けて、韓国、ヨルダン、オーストラリア、北海道の若手人材が、各国を巡回しながら映像制作を行うワークショップの開催など、具体的なアイデアも出され、今後の取り組みに期待を持たせる内容となりました。
 

kaijyo.jpg会場は満杯。この分野への関心の高さを伺わせました