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studioREBARD  映画監督 芳井勇気さん

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 “a Journey to Fantasy”(幻想への旅)をテーマにした映画を製作する映像制作団体studio REBARD。
第5回札幌国際短編映画祭で上映が決まった最新作「夢見る人形と星屑の旅を」の原作、脚本、監督を務めた代表の芳井勇気さんにstudio REBARDの映画づくりについて話を聞いた。

 
ルーツは中学時代

芳井さんの映画づくりのルーツは中学時代にある。演劇の演出をしたのがきっかけとなり、物語を作る楽しさを知った。
高校の部活動では報道局に入り、そこで映像の編集を経験。映像への関心を深めていった。
「高校ではテレビドラマの編集から入りましたが、そのうちに映像が欲しくなり、自分で撮りに行くようになりました。そうすると、どんな筋立てで、どんな映像を撮るかと考えるようになっていき、気がついたらどっぷりと映像の世界にハマっていました」。
高校時代はNHK主催のコンクールのドラマ部門で作品が評価され、北海道全道予選に出場するなどの実績も残し、「映画をやってみよう」と思うようになった。
映画研究部に所属した大学時代には、応援スタッフとしてプロの映像制作の現場も経験し、多くのことを学んだ。
「それまでは手さぐりで制作していましたが、プロの現場を見て、いかに無駄を省き、スピード感を持って制作しているかを体感しました。一つの作品を作るのに、思った以上に多くのスタッフがかかわっていることも新たな発見でした」。
卒業後もこの世界で生きていくことを決めていた芳井さんは、東京で映像制作の仕事に就き、約3年間、助監督としてドラマ、映画、CM制作の現場で働いた。


プロの現場を経験し、studio REBARD立ち上げへ
 

rebard1.jpgプロの現場を経験した芳井さんは、次第に自ら映画を製作する気持ちに傾いた


「東京では色々な現場を経験しましたが、やはり最も魅力を感じたのは映画でした。物語を作り出すことの面白さは映画が一番大きかったですね」。
現場での経験を積み重ねるうち、どうしても自分で映画を撮ってみたくなり、高校時代の同級生で現在も一緒に活動する脚本担当の眞壁智仁氏、助監督の中西拓人氏らとともに映像制作団体studio REBARDを結成した。
何を題材にするか検討に検討を重ねた結果出した答えは、テーマを環境問題に、ジャンルをファンタジーにすることだった。
「今、この時代を生きている自分が作るべき映画とは何なのかと考えた時、今後起こり得る未来を描くことではないかと思ったのです。そこで、環境問題、中でも地球温暖化による海面上昇を題材に選ぶことにしました。重たいテーマですが、自分たちらしさを出しながら、この題材に向き合えたらと思いました」。
こうして、studio REBARDの初作品「リアの島」の製作がスタートすることになった。


初作品「リアの島」を製作

地球温暖化で海面が上昇し、子どもたちが暮らす島が沈んでしまうというストーリーの映画「リアの島」は、温暖化への警鐘を鳴らしつつ、子どもたちに未来を 与えるために何ができるかを問いかける60分の中編作品。原作と監督は芳井さんが、脚本は眞壁さんが担当した。
「ロケ地は海がグッとこちらに迫っているような場所をイメージしていました。千葉などにもロケハンに行きましたが、皆が北海道出身だったこともあって、や はり道東の自然にはかなわないのではないかという結論になりました。東京と北海道を行き来するのは大変でしたが、ロケは北海道で行うことにしました」。
機材の調達、スタッフ、協力者探し、役者のオーディションなど、北海道で映画を製作するために必要な情報が少なく、あらゆることを手さぐり状態で進めなけ ればならない苦労を重ねつつも、高校時代に暮らした江別市の関係者や高校の同窓生などから力強い応援をもらいながら製作を進めた。
農村風景、海岸、丘陵地など、北海道のすぐれた景観を背景に、不安と闘いながらも力強く生きようとする若者と子どもたちの姿を描き、作曲家アベタカヒロ氏 のオリジナル曲を随所に使うなど、一つひとつの工程を丁寧に作り込み、2007年、ついに「リアの島」が完成した。
作品は江別市や芳井さんの母校などで公開され、「島が沈んでなくなるという、未来が見えない状況は悲しいが、それでも人間は生きていかなければならない」 という感想を寄せた観客の言葉が特に印象に残っているという。
初作品を製作・公開したことで、studio REBARDは新たな一歩を踏み出した。

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rebard2.jpgstudio REBARDの初作品「リアの島」では、環境問題をテーマに選んだ

 rebard3.jpg江別市上映会のステージ風景。「リアの島」の製作では、地域からの多くの応援をもらった



“a Journey to Fantasy” (幻想への旅)

芳井さんは、「リアの島」を製作してみて、はじめて監督の大変さがわかったという。
「『いま撮ったカットが作品全体の中でどういう意味を持つのか?』、『次にやるべきことは何か?』、『撮影中に天候が変わったらどう対処するか?』など、監督は常に考え続けていなければなりません。それまで、『なぜいつも監督は座っているのか?』と不思議に思っていたのですが、その謎も解けました(笑)」。
そしてもう一つ、この作品を撮ったことで、studio REBARDの映画づくりの方向性が明確になったことも大きかった。
「『リアの島』を撮る前から考えていたことですが」と前置きしながら、芳井さんはこう続けた。
「現在は子どもが未来に夢や希望を持てない時代だといいます。暗い顔で下を向いている大人を見て育つ子どもたちが夢を見れるはずもありません。自分が子どもの頃は、もっと明日に希望があったし、夢を見ていたはず。子どもたちに夢を見せるのは私たち大人の役割と思うのです。映画を通じて夢を与え、笑顔のある社会づくりに貢献できればと・・」。
この想いは「リアの島」の製作によって確固たるものとなり、studio REBARDは“a Journey to Fantasy”(幻想への旅)―― をコンセプトとした映画づくりを進めることとなった。

rebard4.jpg「リアの島」撮影時の一コマ。“a Journey to Fantasy”(幻想への旅)をコンセプトに映画を製作



最新作「夢見る人形と星屑の旅を」は札幌国際短編映画で上映

  「リアの島」に続く最新作「夢見る人形と星屑の旅を」は、その“a Journey to Fantasy”(幻想への旅)を、より明確に表現する作品となった。
足の不自由な少女が不思議な少年の魔法で夢を叶え、成長する姿を描いたファンタジックな作品で、芳井さんが原作、脚本、監督を務めた。
雪の質感と光の反射の美しさが印象的なこの作品は、札幌近郊でロケを行い、丁寧に時間をかけて作られたことがよくわかる30分の短編映画だ。
「雪の中でのロケは機材の管理や調整が大変で、スタッフの負荷も大きく、厳しい中での
撮影になりました。その分、達成感も大きいです」と芳井さん。
その甲斐あってか、この作品は10月6日(水)から開催予定の第5回札幌国際短編映画祭(SAPPOROショートフェスト2010)の特別プログラム「北 海道セレクション」の中で上映されることが決まった。「北海道セレクション」は、シアターキノ会場(狸小路6丁目)が10月7日(木)の 22:10〜23:40、ホワイトロックシアター会場(大通公園2丁目)が10月11日(月祝)の12:00〜13:30に各々上映されるので、ぜひ足を 運んで、力作を堪能してほしい。

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rebard5.jpg最新作「夢見る人形と星屑の旅を」は第5回札幌国際短編映画祭で初公開

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商業映画の製作団体として

これまで2本の映画を製作し、あらためてstudio REBARDは商業映画の製作に力を入れていきたいという。
2008年4月からICCに入居し、映画製作の環境を整えてきたが、今後はさらに足元を固めるため、法人化を視野に入れた検討も進める方針だ。
また、映画の製作には、スタッフ、支援者、資金確保など、外部の人や企業とのつながりを作ることが必要との認識から、「映画製作パートナー」という形で支援を得る仕組みも実践していくという。
「今回、新たにロゴを作りました。“a Journey to Fantasy”(幻想への旅)を表現するために、鳥の羽根をモチーフに選びました」。
札幌に数少ない商業映画の製作団体として、今後さらに羽ばたいてほしい。
 

rebard6.jpg商業映画の製作に向け、新たな試みを続ける

 

rebard7.jpgstudio REBARDの新ロゴ。札幌から鳥の如く羽ばたく
 

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■映像制作団体 studio REBARD 代表・映画監督 芳井勇気

ブログ http://rebard.sblo.jp/
studio REBARD Webサイト http://www.rebard.com/

「夢見る人形と星屑の旅を」の上映スケジュール
第5回札幌国際短編映画祭(SAPPOROショートフェスト2010)「北海道セレクション」にて上映
10月7日(木) 22:10〜23:40 シアターキノ(狸小路6丁目)
10月11日(月祝)12:00〜13:30 ホワイトロックシアター(大通公園2丁目)
くわしくは、札幌市コールセンター(TEL 011-222-4894)へ

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取材・文 佐藤栄一(プランナーズ・インク
写真   山本顕史(ハレバレシャシン