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エレクトロニカ・ユニット  木箱

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  • 「アルバム Lily library ジャケット」

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札幌をベースに活動するエレクトロニカ・ユニット「木箱」。
ヴォーカルのSAyAさんの透明感あふれる声と西村サトシさんの細部にまでこだわったサウンドが、独特の世界観を作りだす。
4月にこれまでの作品の集大成ともいえるアルバム「Lily library」をリリースしたばかりの二人に、木箱サウンドの魅力について聞いた。


札幌からエレクトロニカを発信

結成は2004年。当時、別のグループで活動していたSAyAさんがライブハウスでエンジニアとして働いていた西村さんと出会ったのが結成のきっかけだった。
「お互いによく聞いていた音楽や好きなアーチストに共通点が多くて、とくにアイスランドや北欧のエレクトロニカが好きでした。エレクトロニカは、当時の札幌ではまだ知られていなかったのですが、それをベースにした音楽をやっていくことにしました」(SAyAさん)。
打ち込み(プログラミング)による電子音に、ギター、キーボードを取り入れた木箱のエレクトロニカは、SAyAさんの透き通るような高い声がテクノポップ調のサウンドに乗り、やさしく、幻想的な世界を作り上げている。

その後、精力的なライブ活動などを通じ、木箱のエレクトロニカ・サウンドは少しずつ浸透し、とくに映像作家、画家などのアーチストやサブカルチャー系の人たちに支持されてきた。
2007年には、道内最大の野外フェス「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2007 in EZO」の公募選出ステージに839組の中から選出され、温かみあふれる雰囲気の中、心に響く演奏と歌声で聴衆を魅了した。


木箱の世界観とは?

作詞はSAyAさんが、曲は共同で制作するのが木箱のスタイル。
ほっこりした印象のSAyAさんと、彼女を見守る兄貴のような西村さんの二人が生み出す世界観は、音楽単体ではなく、視覚をはじめとする五感全体を刺激する独特のものだ。

新作「Lily library」に収録された曲の歌詞をみると、殆どの曲の中に、「空」、「星」、「宇宙」といった言葉が登場する。
「子どもの頃から「空」が好きでした。見上げる空だけでなく、自分の中の空、心の声、夢などを「空」にたとえて書いてみたり。「ボクの理由」という曲には「自由の空」といったフレーズも出てきます。憧れと現実とのギャップや葛藤をぶつけたり、「自分対地球」のような大きなスケール感が詞の中に表現されています」(SAyAさん)。


一方、曲づくりは二人の共同作業。
「メロディーや曲の雰囲気、おおよその進行は彼女が考え、PCに取り込んでからトラックをつくり、アレンジするのは僕の担当です。起伏が少ない曲は、トラックをつけるのに苦労します。考えて試して、また考えて試しての繰り返しですね。二人とも妥協しないので、泣きが入ることもあります(笑)」(西村さん)
こうして作り上げた曲の数々、数年分の汗と涙の結晶が、最新作「Lily library」としてリリースされた。


最新アルバム「Lily library」は木箱サウンドが満載

kibaco_cd.jpg ニューアルバム「Lily library」は、木箱サウンド満載の自信作

4月にリリースされたばかりのニューアルバム「Lily library」は、エレポップ、アコースティック、ロックなど、木箱のキャラクターとサウンドが凝縮された一枚だ。
収録曲のうち「ボクの理由」は、NHK-FMの全国ネット番組「Music Line」の4・5月のオープニングソングに採用され、関西のMBSテレビの音楽&映画情報番組「MM-TV」でも5月のエンディングにオンエアされるなど、同アルバムの代表曲となった。
「「ボクの理由」は、宇宙、孤独、光、鼓動といった世界観が一番ダイレクトに伝わる曲だと思います。アレンジも斬新なものができました。ただ、ニューアルバムに入っている曲は、どれがメインになっても良いというくらいイチオシの曲ばかりです(笑)」(SAyAさん)。

一方、「個人的に思い入れがあるのは7曲目に入っている「あたたかい木」ですね。アルバムタイトルにもなった2曲目の「Lily library」も一番ポップな曲で気に入っています」(西村さん)と、ニューアルバムへの想いはさまざまだが、西村さんからはこのアルバムのさらに楽しい聞き方の提案があった。
「エンジニアなので」で笑いながら、「できれば、スピーカーかヘッドフォンでしっかり細かい音まで聞いてほしいですね。きっと色々な発見があると思います。ちゃんと聞かないとわからない、細かい音やノイズ音をたくさん使っていて、左右に違う音を振っているので、音のバリエーションや変化もぜひ楽しんでほしい」と西村さん。
実際にヘッドフォンで聞いてみると、音の位相がはっきりわかる曲が多く、聞き流しでは気付かなかった音の発見がたくさんある。
i-Podに付属の白いイヤホンも意外に音が良いとのことなので、ぜひ試してみてほしい。


木箱ライブはアート空間

kibaco_live1.jpg 映像やアートを取り入れた木箱のライブはアート空間そのもの

木箱の魅力を語る上で欠かせないのが、アートや映像をふんだんに取り入れたオリジナリティあふれるライブだ。
地元の映像クリエーターやアーチストとのコラボレージョンで、ファンタジックなステージを作り上げている。木箱のサウンドが、ステージの背景で変化する映像やアートにマッチし、不思議な空間を生み出す。
先日6月19日にも、札幌のベッシーホールでライブが開催されたばかりだ。

「アートや映像を取り入れることで、音楽を聴くだけでなく、一体化した空間として感じてもらえるので、観客の反応が普通の音楽ライブとは全く違うんです。ポカンと口をあけてステージを見ている人とか、惹き込まれていっているのがわかります。あまり反応がないので、少し不安になることもありますが(笑)、自分たちの音楽の聴き方はコレだなと確信しました。一見、盛り上がっていないように見えるかもしれませんが、それが木箱スタイルなんだと(笑)」(西村さん)。
次のライブにはぜひ足を運び、木箱といっしょに空間共有を楽しんでほしい。

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観客との空間の共有は木箱ライブの醍醐味



札幌のシーンを盛り上げる仕掛け人として

「札幌には面白いことをやっている人たちがたくさんいるのに、身内だけで盛り上がっているのが残念。みんなで手を組めば、もっと多くの人たちに知ってもらえるのに」(西村さん)との想いから、西村さんらが仕掛け人になって2009年9月に催したのが、モエレ沼公園ガラスのピラミッドでのイベント「カタログvol.1 〜sodatsu〜」だ。
音楽ライブだけでなく、バルーンアーチスト、落語家など、一見、接点のなさそうなアーチストたちを集め、モエレ沼という“ハコの力”、色々なジャンル“のアートやパフォーマンスの力”、木箱らミュージシャンが提供する“音楽の力”を結集し、札幌の音楽やアートの底力と可能性を知らしめた。 

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モエレ沼公園「カタログvol.1 〜sodatsu〜」 アート作品に囲まれての木箱ライブ


「子どもはバルーンアートに大喜び、ふだん聞けない落語には年配の方がとても喜んでくれました。私たちのライブも、子どもからお年寄りまで幅広い年代の方に聞いてもらえてうれしかったですね」(SAyAさん)。
札幌で活躍するアーチストたちを巻き込み、束ね、魅せる - その仕掛け人としての木箱の動きにも注目大だ。
「手ごたえをつかんだので、ぜひまたやりたい」という西村さんの言葉を信じ、次回の「カタログ」に期待しよう。

kibaco_moere2.jpg   kibaco_moere3.jpg   kibaco_moere4.jpg 「カタログvol.1 〜sodatsu〜」様々なジャンルのアート作品



札幌を拠点に、木箱ワールドを

 

kibaco_live3.jpg 札幌をベースに、新しい音楽を発信し続ける

新アルバムをリリースし、道外での反響も高くなる中で、木箱は札幌を拠点に活動したいと考えている。
「全国でも札幌の音楽シーンはとても元気だと思われているし、札幌には可能性をもったアーチストがたくさんいます。札幌の色々なシーンをもっと盛り上げたいという気持ちをずっと持っているので、札幌を拠点にした活動をしていきたいですね。ここでしか出せない世界観を曲やライブで表現し、札幌に来なければ味わえない機会や雰囲気をたくさん打ち出せたら満足です」(西村さん)。
一方、SAyAさんも「身近に自然があって、緑の空間がたくさんある札幌は詞の世界観を広げるのに最適なマチ」と話す。

「これまでは自分たちのやりたいことだけをやっていれば良いと思っていましたが、ここ1〜2年で意識がガラリと変わりました。曲を聞いてくれる人が増えているので、もっとたくさんの人に自分たちの音楽を届けたいという気持ちが強くなって、幅広い曲づくりができるようになってきたと思います」(SAyAさん)。
「毎年ニューアルバムをリリースできるように、現在、曲づくりに励んでいます」(西村さん)とのことなので、次回作の発表を楽しみにしよう。そして、ぜひとも木箱ワールド全開のライブにも足を運び、木箱ワールドを共有してみたい。
 

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エレクトロニカ・ユニット 「木箱」
・official web site http://kibaco.net/
・twitter https://twitter.com/kibaco_chan
・「ボクの理由」PV http://www.youtube.com/watch?v=2iI4yxfnKAM
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取材・文 佐藤栄一(プランナーズ・インク