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有限会社 叶多プランニング 「札幌から世界へ」って本当ですか? 答えはここに!

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企業とクリエイターのマッチングをサポートするのが目的です、とこちらが先に取材の主旨を説明すると「一緒ですね!」叶多(かなた)プランニング代表・平塚智恵美さんの眼が輝いた。「当社のイベント事業やアート事業の目的も同じこと。札幌のものづくりを世界に届けたい」。木工や陶芸、ガラス、金属、テキスタイルなどジャンルを問わず100名近くのクリエイターとのパイプを持つ叶多プランニングの活動を追う。



月刊誌の編集を通じて新壮年世代の魅力を実感

平塚智恵美さん率いる有限会社叶多プランニングの前身は、月刊フリーペーパー「アラタ」の編集部だった。ターゲットは40代から60代までの"新壮年世代"。生活や健康、趣味の話題などをオールカラー24Pで紹介した。1999年9月に創刊してから約5年間、54号を出し続けた。
「『アラタ』の編集をしながら私が感じたのは、新壮年世代の方々はものを買うとか使う、見るという場面でとても鋭敏な感性を持っているということ。その世代の女性がお財布のひもを握っていると言われるのも、選ぶ基準や自分の意識をしっかり持っているから。衣食住をトータルに考えて暮らしというものを見つめています。しかも自分だけがよければそれでいいというのではなく、環境や平和といった次世代のことも真剣に考えている。そんな新壮年世代の魅力をあらためて実感できた5年間でした」と平塚さんは振り返る。
この「アラタ」で得た経験を生かそうと編集部の仲間とともに新会社を設立。2005年に叶多プランニングが誕生した。


128名が応募、毎日持ちたいエコバッグコンテスト

新会社では編集・出版・広告事業部の他に、「札幌のクリエイティブで新たな人材が育っていける環境づくり」を目的にイベント事業、アート事業を立ち上げた。手始めに2006年の秋、新企画「北海道エコバッグ&ふろしきキャンペーン」を立案した。
期間中には「北海道発エコバッグデザインコンテスト」も開催。私たちが日常生活で使うレジ袋の数は一人当たり年間約300枚と言われている。資源をもっと大切に、という理屈だけでは人はなかなか変わらない。ならば常備したくなるようなエコバッグを自分なりに考えてみようと広く呼びかけた。
結果は初回にもかかわらず「老若男女あらゆる世代から」128点もの応募作品が集まり、入賞作品は実際のバッグに仕上げて展示された。応募者の中には「日頃から過剰包装に疑問を抱いていた」60代の男性や「デザインははじめて」の70代の女性もいたという。
誰もが気軽に参加できるものづくりの場が求められている。大きな手ごたえをつかんだ平塚さんは立ち止まることなく次の一歩を踏み出した。



世界的なリサイクルブランド「SECCO」を札幌に招へい

2007年、「北海道エコバッグ&ふろしきキャンペーン」はより幅広い視野をもった「SAPPOROエコデザインプロジェクト」に生まれ変わり、平塚さんは実行委員長の立場でプロジェクトをけん引した。エコバッグデザインコンテストも「エコデザインアワード2007」に改称され、エコバッグとふろしき部門の他に文房具、インテリア・キッチン、アクセサリー、その他の生活用品の4部門が追加された。
このとき、平塚さんにはもう一つの目的があった。それは世界的に有名なフィンランドのリサイクルブランド「SECCO」を札幌で紹介すること。「雑誌でSECCOの記事を読み、すぐに連絡をとりました」という電光石火の行動力で"北海道初"の企画を実現。リサイクルデザインを身近に感じてもらうきっかけに、と創設者ニーナ・パルタネンさんを招き講演会や展示・販売会を行った。
「よく"札幌から世界へ"という言葉を耳にしますが、正直なところ本当なの?(笑)と思ったりしませんか」。そこは有言実行派の平塚さん。「エコデザインアワード2007」でSECCO賞に輝いた作品「エコテトラ」は現在フィンランドのSECCOショップで実際に展示・販売されているという。同社とは今後も足並みを揃えた活動を計画中だ。



エコデザインアワード2007」グランプリとSECCO賞をダブル受賞したニーウン・ペツガラス美術研究所 楠本由美作「エコテトラ」。楠本さんは北広島市の工房で活動中。


世界に眼を開き、自分を売り込む勇気を持つこと

2008年1月には「エコデザインアワード2007」の巡回展と同時に、道内外75人の作家による「暮らし愉しアート&クラフト・マーケット〜心温まる暮らしのものたち〜」を開催した。年初のセール時期にあえてぶつけた訳は「流行のものとは違う、長く愛着をもって使えるものたちにも触れてほしかったから」と平塚さん。会場には6日間で5,000人が訪れた。
最後に若手クリエイターへのメッセージをお願いすると、「一番伝えたいことは、世界への扉を開こうという夢を持ってほしい。自分の作品力を高めるために他の方の作品を見て眼を養い、次回は自分も参加したいと思える展覧会には気後れしないでどんどん自分の作品を売り込んだらいいと思います。今年6月から始まる『エコデザインアワード2008』の作品募集にもぜひ応募してください。一緒に夢を叶えていきましょう!」と語ってくれた。



事務所の一角にある「kanata art shop」。誰でも気軽に立ち寄れる。



●有限会社 叶多プランニング
WEB SITE http://www.kanata-planning.com/
〒060-0042 札幌市中央区大通西5丁目大五ビル6階
TEL : 011-219-3988
FAX : 011-219-3989

取材・文 佐藤優子