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想像工房 工房長 吉住弘之 : 作家の自分をデザイナーの自分がプロデュース

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札幌では数少ない、立体作品を得意とするデザイナーの吉住弘之さん。扱う素材は発泡スチロールや金属、粘土など多種多彩。空間演出の腕を見込まれ、札幌PARCOやイシヤチョコレートファクトリーのウィンドウディスプレイといった大手企業との仕事を手がける一方で、造形作家の顔も持つ。工房ではなまめかしいフォルムのオリジナルフィギュアたちが世に出る日はまだかと心待ちにしているようだった。


デザイナー・造形作家の吉住弘之さん(45歳)


流されていく毎日にピリオド、立体の世界へ

図工の時間が待ち遠しかったという吉住弘之さんの小学生時代。夏休みの自由研究では「吉住は何を作ってくるんだ」とクラス中の期待が集まるほど、ものづくりの才能は際立っていた。
札幌造形デザイン専門学校を卒業後、デザイン会社に就職したものの「若気のいたり」で2、3週間後には行かなくなった。イラストレーターを目指し、生活費は建築現場などのアルバイトで稼ぐ日々が続いた。 「でもね、そういう生活が長くなると本当に進みたい方向と違う方へ、違う方へと道がどんどんズレていく。自分はどうなってしまうんだろう、軌道修正しなければと思って就職情報誌をめくっていたら、ディスプレイ会社の求人を見つけたんです」。
イラストやグラフィックデザインの二次元を飛び出し、初めて挑戦するオブジェづくりやディスプレイの世界。この世にひとつしかない"生のもの"を自分の手で作り上げていく立体のおもしろさに吉住さんは魅了されていった。その後30歳で独立し、インスタレーション & ディスプレー・デザインワークス「想像工房」を設立。制作にのみ専念できた会社員時代に終止符を打ち、営業活動という新たな責務を負うことになった。


縁が導く取引先との出会い、勝負を決める1回目

前職での実績や人脈はフルに活用した。見知ったところには開業の挨拶に行き、関係者が集まりそうなパーティーにも顔を出した。そうした地道な営業活動が実り、独立後初めてのウィンドウディプレイの仕事が札幌PARCOだった。
「どんな小さな仕事でも一回やらせてもらえれば、自分の力をアピールできる。このときも相当力をいれましたから、おかげで1993年から1996年までと長く担当させてもらえることになりました。それっきりの関係になるか、その後も続くか、一回目が肝心です」。
グループ展のスペースを借りるつもりで訪れたJTインフォプラザでは、前の会社での実績が買われて、逆にディスプレイを依頼されるという幸運も。前からぜひ手がけてみたいと営業先の候補にあげていたイシヤチョコレートファクトリーは、知人の紹介で当時のトップに直接プレゼンする機会を得、見事ゴーサインをもらった。取引は現在も続いている。
「僕にすべてのチャンスを与えてくれたのは、人と人とのつながり。これに尽きる。いろんな人との出会いに支えてもらって今の僕があるんです」と振り返る。

 
ガラス越しに広がる夢の世界で魅了する

吉住さんにディスプレイの魅力を教えてくれた心の師がいる。現在も札幌を中心に活躍する松本純一氏だ。 「松本さんのディスプレイ展を見たとき、こんなにおもしろいことができるのかと感動した。見る人に"夢を見せる"のがディスプレイの使命です。松本さんの仕事を見て、自分もこういう仕事がしたいと火がつきました。松本さんのところに営業にも行きましたし、何度か一緒に仕事をさせてもらえる機会もいただきました。ディスプレイに限らず、夢がいっぱい詰まった作品をこれからもつくり続けていきたいです」。 造形作家としても活動する吉住さんだが、クライアントワークのときは「作家の吉住をデザイナーの吉住がプロデュースする」姿勢を貫いている。さまざまな制約を楽しみながら想像の羽を広げる絶妙なバランス感覚が、クライアントから厚い支持を集めている。


重厚感あふれる亀も実は発砲スチロール製。「扱いやすい素材だけど後片付けが大変(笑)」と吉住さん。


 

ウェブ展開を待つオリジナルキャラクター

現在は人形や立体イラストレーション、オブジェ、模型などの依頼を受けるかたわら、ウェブデザインも始めた吉住さん。「百貨店や企業も余裕がない今の時代にディスプレイの依頼を待つばかりでは限界がきっと来る。ウェブの仕事を増やすだけでなく自分のサイトも、もっとおもしろく活用できないか模索中です」。 すでに頭に浮かんでいるのは、ブタとウサギ、ネコを擬人化したキャラクターからなるスリーピースのガールズバンド。フィギュアの販売や動画などさまざまな可能性を秘めたオリジナルキャラクターだ。 「オリジナル作品はほとんど自己愛の世界(笑)。自分がつくったものが世に受け入れられないわけはないという気合いで作っています。作品は生モノ。構想が逃げたり、飽きてしまわないうちに完成させないと途中で終わってしまう。頭ではわかっているんですが、これを実行するのが実は一番難しいことなのかもしれません」



●想像工房
WEB SITE http://www.sozo-art.com/
Creator Profile  http://s-xing.jp/db/ind/prof0055.html

取材・文 佐藤優子


最終更新日:2007年12月29日