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キュウイフィルム 客席の笑い声が「作ってよかった」瞬間

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粘土で作成したキャラクターを1コマずつ撮影して完成させるクレイ・アニメーション(以下クレイアニメ)。キュウイフィルムは、札幌では珍しいクレイアニメを制作するグループだ。オリジナル作品「KUROMAME(クロマメ)」は、第2回札幌国際短編映画祭 SAPPORO SHORT FEST 2007の「最優秀チルドレン・ショート賞」、東京国際アニメフェア2007アニメアワードの公募部門「特別賞」を受賞し、各地で注目を集めている。今回は、撮影中のスタジオにお邪魔して、クレイアニメの魅力や作品、今後の展開についてスタッフの皆さんからお話を伺った。


「粘土で何かしたいね!」から始まった

美術関係の専門学校を卒業している斎藤栄子さんは、今から7年ほど前のある日、学生時代の友人にばったり街で出会った。
「その友人と"粘土で何かしたいね"という話で盛り上がり、それがクレイアニメを始めたきっかけです。それから、粘土が好きな人たちが自然に集まってきて、いろいろ入れ替わったりもしながら、今の形になりました。」(斎藤さん)
現在のキュウイフィルムのスタッフは、代表の斎藤栄子さん、監督の河部勝敏さん、キャラクターデザイン・制作担当の佐藤由香里さん、イラスト・アニメーション担当の二平瑞樹さんがコアメンバー。CM制作、映像関係、会社員と、それぞれが別の仕事をしながら、週末に集まって、クレイアニメの制作にとりくんでいる。また、このほかにも、制作・編集をはじめ、音楽スタッフなど、たくさんの協力者がバックアップしてくれている。
スタートした頃は、斎藤さんが設立したCM制作会社「View」のオフィスを拠点として、札幌の企業のCMをクレイアニメで制作していた。
「始めたばかりの頃は、何も知らずに手探り状態でした。撮影したものを見てみると地震のようにぐらぐらしていました(笑)。台を固定するということも知らなかったんです。CM制作をする現場で、プロのカメラマンや照明さんと一緒に仕事をしながら、その技術や機材などを見て、いろいろなことを学びました。」(河部さん)


常識にとらわれない「KUROMAME」のメーキング秘話

月に1本くらいのペースでクレイアニメのCM制作の依頼が来ていたが、そのうち、ぱったりと仕事が切れたときがあった。その時間を利用して制作したのが、オリジナル作品の「KUROMAME」だった。
「最初に斎藤さんがキャラクターを作ってきました。黒い粘土そのままの姿だったのが、洋服を着せてみるとかわいいということに。普通のクレイアニメは、同じ粘土素材で洋服なども着せますが、布の洋服を作って着せているのは、私たちくらいだと思います。」(佐藤さん)
布の洋服を着せることで、細かい動作を表現するのが難しくなったり、必要のない場面で洋服が動いてしまったり、洋服が粘土で汚れてしまったりと苦労も多いという。それでも、自分たちが良いと思ったことを最優先にして、常識にとらわれないやり方で制作することが、今ではキュウイフィルム作品の大きな特徴ともなった。
「話の構成は、まずタタキを監督の河部さんが作って、みんなで話し合いながら直したり、撮影しながら細かい動きを考えます。丸一日撮影して10秒くらいできればいいほうです。その日の調子によって、全然できない日もありますし。」(斎藤さん)
予想通り、なかなか根気が必要な世界のようだ。空いた時間を利用して作り始めた「KUROMAME」は、気がついてみると3年の歳月をかけて、20分もの大作となっていた。
9月に札幌で開催された、第2回札幌国際短編映画祭 SAPPORO SHORT FEST 2007では、『最優秀チルドレン・ショート賞』を受賞した。
「授賞式の発表の場にみんなでいたのですが、プレゼンターから発表されたのが『the Magic wand』で、その発音の良さから、KUROMAMEが受賞したことに気づかなかったんです(笑)。僕(二平さん)だけが気づいて騒いだらみんな気づいて、それから喜びました。」(二平さん)
「子どもたちに見て欲しいと思って制作した作品なので、この賞はうれしかったです。」(斎藤さん)

  携帯コンテンツへの配信、そしてこれからのKUROMAMEは?

「情報処理関係の会社にいる大学時代の先輩から『KUROMAMEを携帯のコンテンツとして配信してみないか』という話をもらいました。8月からauの有料コンテンツとして配信しています。」(二平さん) 今は、すでに完成しているKUROMAMEの本編を1回40秒程度に切ったものが、毎週更新されている。2008年4月からは、auの携帯コンテンツでしか見られない新作も登場するということで、今ちょうどその撮影がスタートしたところだ。 「携帯コンテンツは出来高制の契約なので、会員数が増えてくれればいいなと思っています。」(河部さん) 今までは、収入よりも制作にかけた費用がかさんでいる状態。今回の携帯コンテンツの契約をきっかけとして、ネットショップでのグッズ販売などにも力を入れ始めている。 「もっと色々な人にKUROMAMEを知ってもらいたいので、上映会をしていきたいし、子どもたちには、どうやって作っているのかも見せてあげたいです。KINOで上映したときに見て気に入ってくれた方が、自分の子どもが通う幼稚園での上映会を設定してくれたのも嬉しかったです。来年は、小学生向けにクレイアニメを紹介する講座も決まりました。」(斎藤さん) 新作のアイデアは、あふれるほどの絵コンテとなってすでに蓄積されていた。斎藤さんには弟が、河部さんにはお姉さんがいることから、自分たちの子どもの頃を思い出すと、ストーリーは次々出てくるという。「私たちは私たち流のやり方でこれからも撮っていきたいです。それしかできないので」という斎藤さん。「上映中に観客から笑いが出たりすると、作ってよかったと思います」という河部さん。 クレイアニメならではの映像の素朴さや、だれもが子どもの頃に戻れるストーリーを持つKUROMAME。夢のある映像は、クレイアニメに見せられた面々が、試行錯誤しながらも、楽しく制作している現場から生まれていた。

   

●キュウイフィルム
〒065-0016 札幌市東区北16条東1丁目 西沢水産ビル〔ビュー内〕
WEB SITE http://qwifilm.tv/

取材・文 佐藤保子


最終更新日:2007年12月12日