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株式会社マルハマ - マルハマ的"楽しさ"は屋上にあり!?

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WOWOW、MUSIC ON TVのステーションIDやPIVOTのWEBサイトなどを手がける株式会社マルハマ。いろいろな分野に長けた若いスタッフたちが刺激しあい、斬新な企画や美しいムービーを生み出している。"ものづくりを通して新しい価値の提供を目指す"株式会社マルハマの松永さんにお話を伺った。


(株)マルハマ 取締役 松永芳朗さん(28歳)


設立して2年、最高に楽しいです

市電「行啓通」駅のそばに、電車通りに面して建つ4階建ての「まるはま」ビルがある。このビルの3階が株式会社マルハマのオフィスだ。 「たまたま見つけた物件が"まるはま"ビルだったので、会社名も"マルハマ"としました。自社ビルみたいでいいかなと。」 たしかに、聞いたときには「何の会社?」と思ってしまうような、インパクトのある名前だ。 もともとカメラマンが使用していたというオフィスは、壁面には撮影スタジオならではのホリゾン、片隅には暗室もそのまま残されている。スタッフは全部で8名。20代〜30代前半の若いスタッフが、それぞれのパソコンに向かって仕事をしている。 設立して2年でこれだけのスタッフも揃い、順調に成長してきた印象を受けたが、設立当初は、苦労も多かったようだ。 「少しでも経費を抑えようというのが暗黙の了解であって、冬になると、寝袋に胸まで入って、ぴょんぴょん飛び跳ねてオフィスの中を移動してました。もちろん暖房はありますが、設定温度を低くしていたので。夏は、冷房がないので窓を開けていると、網戸がないので夜は虫がひどかったり、あるときはハトが入ってきたこともありました。かわいかったです。」 ちょっと前までは、今のオフィスの雰囲気からは想像できない光景があったようだ。

同じ会社で仕事をするということ

株式会社マルハマは、遠山さんと松永さん、他4名のクリエイティブ集団を前身として、2005年に設立された。2人が出会ったのは、札幌市デジタル創造プラザ(ICC)。それぞれ別の会社に所属しながらICCに入居していた。 「ICCには、いろいろな会社や人が入居していて面白かったです。」 そうした雰囲気は入居者たちが自ら作り出していたもので、二人はその真っ只中でコラボレーションの面白さを実感していたようだ。 会社設立当初から、外部のスタッフと一緒に仕事を進めることも多く、そんな中で、優秀なクリエイターたちとの出会いを重ねてきた。そういう外部スタッフだった人たちが、最近マルハマの社員となって加わっている。 「周りからは、会社組織にはせずに、フリーランスの集まりとして自由に活動したほうが良かったのでは?と聞かれますが、やはり同じ会社で仕事をして、同じ目標を目指すことで、個人ではできないことにチャレンジできると考えています。」


壁をなくして生まれてくるもの

参加しているスタッフは、CMディレクター、イラストレーター、アニメーター、グラフィックデザイナー、WEBディレクター、モバイルコンテンツプランナー、建築設計士、ゲームプログラマーと、経歴はさまざま。それぞれの分野に精通しているスタッフが一緒にいることで、それまで考えもしなかったような新しいものが生まれてくるのが面白いという。この"多才の集まり"こそがマルハマの特徴でもあり、強みといえるだろう。 「クライアントからは、何を専門としている会社なのかと聞かれることもありますが、CM制作プロダクションとか、WEB制作会社とか、既存の枠にとらわれずにいろいろなことをしていきたいと思っています。それが当社のメリットであり、時には理解されずにデメリットになることもありますが、壁をなくしたところから生まれるいろいろなものを形にしていきたいです。"何か面白いことがしたいね、じゃあマルハマを呼んでみようか"ってなればうれしいですね。」


広告主の利益につなげるための聞き取り・調査が重要

取材当日、過去の仕事実績が収録されたDVDを見せてくれた。WOWOWやMUSIC ON TVのステーションID、HBCのキャラクターもんすけのアニメーション、ミサワホームのTVCM、PIVOTやガトーキングダムのWEBサイトなど、ビジュアルに訴える美しいムービーが次々と展開されていく。クライアントは地元に限らず、東京方面のクライアントもあり、売り上げではちょうど半々の割合だという。取材当日も2名のスタッフが東京出張で不在だった。


仕事実績の一部


「積極的に営業をしているというよりも、すばらしい人脈に支えられて今まで仕事ができてきました。クライアントの期待に応えられるように、結果、効果をもっと出せるように、まだまだ頑張らなければなりませんが。」 豊富な企画を生み出している、マルハマのプレゼンテーション術について聞いてみた。 「広告主の利益につながることが最も大切なので、文章や資料で説明を積み重ねることも大変重要なことだと思っています。そのための事前の聞き取りや調査ももちろん重要です。 そして、プレゼンテーションでは、新しい表現や仕組みは伝わりにくいので、実際に制作して持っていくこともあります。」 これからも、新しいことにチャレンジしていきたいという松永さん。 「やっとやりたいことができる環境に近づいてきました。待受フラッシュをはじめとする携帯コンテンツ分野や、オリジナルのアニメーション作品の制作にも今、取り組んでいます。今までも良い出来の仕事はだいたいが楽しんで制作できたものですね。これからも"おもしろかっこいい"デザインや企画で興味を惹き付けたり、夢を持たせたり、楽しい未来を想像させていきたいです。」


オリジナルのアニメーション作品


「会社のウリ」は屋上にある!?

取材後半、「屋上を見てください。当社のことがわかります」という松永さん。他のスタッフからも「この会社の良さは屋上です」との言葉が。さっそく屋上へ案内してもらうと、そこには、信じられない世界が広がっていた。


ビルの下には路面電車が走る

まるはまビルの屋上

スタッフのみなさん


フェンスには、夏の名残のあさがおが弦を巻き、その向こう側には、木製のデッキとテーブルで小上がりが設置されている。頭上には電球を配置したシンプルな照明、大きな鉢植えの観葉植物が周囲を囲んでいる。そして、下には路面電車が走り、ガタンゴトンとのどかな音を響かせる。ビルの狭間からは、遠くにイルミネーションに輝くテレビ塔が見え、振り返れば大倉山をはじめとする山々の風景が広がっている。市電のある札幌の街ならではの屋上ビアガーデンが、まるはまビルの屋上に存在していた。
「テーブルの上に七輪を置いて、ビールを飲むのは最高」だという。狭い階段からすべての材料を運び、自分たちで手作りしたこの空間は、ビルの大家さんも了解済みで一緒に飲むことも。時には、クライアントとの打合せをここですることもあるという。眉間にしわをよせるような打合せとは縁遠い、さぞかしクリエイティブな会話がはずむことだろう。 「年代の近いスタッフばかり。毎日顔を合わせているだけでコミュニケーションはとれるし、相互に刺激しあえる環境があると思います。月曜日の朝に集まって朝礼をするなんてことは、当社では必要ないです(笑)。」
スタッフに「どんな会社ですか?」と聞いてみると、「快適な職場環境です」「自分に持っていないものを持つ人がいて勉強になるし、刺激になります」「仕事をする中で新しい発見があります」という答えが返ってきた。マルハマという会社の快適さはこの屋上に象徴され、こうした環境から、スタッフ一人ひとりのモチベーションが高まり、"楽しさ"を提供する仕事が生まれていく。これからも、マルハマの計り知れないパワーが、札幌発信の面白いシーンを誕生させてくれることを大いに期待したい。



●株式会社マルハマ
〒064-0914 札幌市中央区南14条西7丁目3-6 札幌まるはまビ3F
TEL : 011-512-0680
WEB SITE http://www.maruhama.org/

取材・文 佐藤保子