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ススムカタチ情報設計室 コミュニティ系ネットサービスへの挑戦

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札幌市デジタル創造プラザ に入居しているススムカタチ情報設計室 は、webビジネス戦略の企画、実行支援を専門とするコンサルティングを主な業務とし、多角的にweb制作関連業務を展開している。2007年6月、お取り寄せグルメに特化したソーシャルショッピングサイト『ハラペッコ』をオープン。設立して2年の経緯と、これからの展開を、代表の飯田進さんに伺った。

代表の 飯田 進さん(34歳)


インターネット関連のノウハウを生かして一人で起業

飯田さんが『ススムカタチ情報設計室』を立ち上げたのは2005年3月。以前から知っていた札幌市デジタル創造プラザ(ICC)の入居募集のタイミングと合わせて、同プラザにオフィスを構えた。
それ以前は、大学卒業後に就職した情報関連の企業(東京)に8年勤務し、インターネット関連のひと通りの部署を経験してきた。退職1年前に、夫人の出身地でもある札幌に住まいを移し、札幌支社に勤務。
「転勤後の札幌での仕事は、紙媒体の制作だったため、それまでとはまったく違う世界に戸惑うことも多かったです。会社が、社員のステップアップを支援する社風だったこともあって、それまで自分が経験してきたインターネット関連のノウハウを生かしたビジネスを、札幌でやってみようと思い、起業を決意しました」。
こうした思いで起業を果たした飯田さんは、札幌の企業が賃貸系のサイトを立ち上げる際に、ユーザビリティを考慮したwebサイトの情報構造設計部分を担当。単なるweb制作の受託ではなく、提案型の業務を志向して仕事をスタートした。


ショーケースとしてソーシャルショッピングサイト『ハラペッコ』をOPEN

仕事は、以前勤めていた会社関係や、そこから広がるネットワークにより、受注するケースが多い。起業して1年ほどでわかったのは、先駆け的にしたいと思っていたネットサービス関係の業務は、札幌では、想像以上にそのニーズが少ないという現実だった。こちらから提案した内容がクライアントに受け入れられず、思うような結果にならないことも。昨年から今年にかけては、構築自体を担当するような、細かい仕事もこなしてきた。
「受託の仕事は、クライアントの要望通りに作るという作業になりがちです。日々新技術が生まれているネットサービスの世界で、新しいことを取り入れていくことが難しくなります。ここ最近、受託の仕事もこなす中で、自分をブラッシュアップできることをしないとだめだなぁという思いがありました」。
そこで、「自分がやろうとしていることを形にしてみよう」ということで開設したのが、ソーシャルショッピングサイト『ハラペッコ』だ。
ハラペッコは、いくつかのオープンソースを組み合わせて構築されている。その一つが、アメリカで急成長をとげた、ニュース記事を読者が評価して評価順に掲載するソーシャルブックマークの仕組みを取り入れた『digg』のモデル。日本では『はてなブックマーク』でも知られているものだ。
「"みんなが評価するものを知りたい"というニーズは、いろいろなシーンであると思っています。ハラペッコは、お取り寄せをテーマに、一般的な読者に向けたサイトとして開設していますが、これはひとつのショーケースと位置づけています。ここからの展開の一つとして、企業向けに、こうした仕組みを使うことで、社内報的な役割を担うサイトや、チームやプロジェクト管理に活用できるネットサービスを提案できればと考えています」。

ソーシャルショッピングサイト「ハラペッコ」


プレゼンテーション力を高め、ネットサービスを提案

「ネットサービスをビジネスとして提案していくためのアイデアや、意見を出し合える場、ネットワークがもっとあるといいなぁと感じています」という飯田さん。
"WEB系クリエイティブ座談会"として7月に実施された、ICCの第5回クリエイティブミーティングで、飯田さんは『ハラペッコ』のプレゼンテーションをした。ICC入居者を中心とした参加者と活発な意見交換がされ、いろいろなジャンルのクリエイターたちから新鮮な話題が飛び出す場面も。
「クライアントに提案がうまく伝わらないというのは、まだまだ自分の力不足だと思っています。今後の方向性としても、コミュニティ系のネットサービスを使って、ユーザーと企業をつなぐ新しい仕組み作りができたらと考えています。自分のスキルを持ってモノを作り、形になったものを提示しながら提案することで、よりわかりやすくプレゼンテーションできるようになればと思っています」。
一人のアイデアから大きなヒットが生まれる時代。ススムカタチ情報設計室は、名前の通り、常に「進み」ながら、その「形」を進化させていく企業に成長していくことを期待したい。



●ススムカタチ情報設計室
〒062-0901 札幌市豊平区豊平1条12丁目1-12札幌市デジタル創造プラザ
ウェブサイト  http://susumukatachi.jp/
Creator Profile  http://s-xing.jp/db/unit/prof0033.html

取材・文 佐藤保子