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株式会社アットプラスデザイン「価格競争から抜け出す鍵は、企画力にあり」

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「仕事受注のきっかけは、ありがたいことにお客様からのご紹介が多いですね」。こう語るのは、札幌市産業振興センター内にオフィスを構える(株)アットプラスデザインの伊藤和広社長だ。ご自身を含め4名の少数精鋭で、コンテンツの企画提案、デザイン、ソフト開発、映像制作と幅広い事業を手がけている。自治体や大学関係を中心とする顧客達が同社を"紹介"したくなる魅力とは、何なのか。同業他社との差別化をはかるため、伊藤社長が掲げた2つのキーワードに迫る。

(株)アットプラスデザイン代表取締役 伊藤 和広氏(48歳)


「ア行」で目立つ、付加価値で魅せる

2006年11月、東京に本社を置く同業企業の札幌支社から伊藤和広さんが独立して立ち上げた(株)アットプラスデザイン。北海道に根づいた仕事をもっとたくさん手がけたいという想いが、伊藤さんを起業へと駆り立てた。
社名の由来は、検索で先頭に登場する「ア行」であることを絶対条件に、仕事の依頼に「プラスアルファ」の付加価値をつけて応えるという同社の企業姿勢を表したもの。
企業の規模や創立年数を問わずあまたの同業他社がひしめくこの業界で、「安売りで受注を競う会社にはしたくなかった」という伊藤さん。そこから抜け出すためには、なによりも企画力が必要だと強調する。
「相談を持ちかけられた案件に対して専門的な技術のみを提供するのではなく、『こういうこともできますよ』とこちらから提案する力を持たなければなりません」。
そうした企画力を支える土台のひとつとして伊藤さんが当初から考えていたのが、自社独自のサービスを開発することだった。


「自社製品あり」の強みを生かして

現在、「プラスシリーズ」と名づけられた自社サービスは5種類ある。いずれもデータの一元管理や分析に役立つことを目的としたオリジナルのシステムだ。
2007年1月にオープンした砂川市地域交流センター「ゆう」の施設予約管理システムには、同社の「予約プラス」が導入されている。
また、同年4月には、札幌市が発信する健康情報サイト「健康さっぽろ21」内にウォーキングを通じて楽しく健康管理するコンテンツ「札幌ウォーキング」を構築。これも自社サービスの「ウォーキングプラス」があるからこそ、受託できた仕事だった。
「自社製品があることで話題にもなりますし、企画にも厚みが出てくるんです」。この意欲的な姿勢が顧客から信頼を集める原因のひとつに違いない。


自社製品「プラスシリーズ」のラインナップ。
今後はバージョンアップし、さらなる利便性を追求します。


「プロデューサー」の集合体をめざす

「クリエイターたるもの、与えられた一部の仕事を遂行するだけで満足していては成長が止まってしまう。最終的には全体像を見る目を養い、プロデューサーにならなければ」という持論を唱える伊藤さん。
ウェブデザイン・システム開発・映像制作などオールマイティーな力をつけることが、アットプラスデザインのスタッフ全員の目標だ。前述の自社サービスに続く、プロデュースができる"人材力"という強みで、同業他社との大きな差別化を狙っている。
「一人前のプロデューサーを育てるのは、もちろん簡単なことではありません。こちらも長期戦になる覚悟でのぞみますから、新しい人を採用する際にも『今はSEだがデザインもぜひ勉強したい』などの強い意欲を持つ人材を歓迎しています」。
さらに、自分が関わる領域を広げることで仕事のおもしろみも増し、幅広い経験がクリエイターとしての糧にもなるのだと伊藤さんは指摘する。


日々の努力を怠らず、自然体であれ

アットプラスデザインは"紹介"による仕事受注が多いとはいえ、営業努力は怠らない。異業種交流会に参加し、人脈を築くことも、社長である伊藤さんの大切な仕事だ。
「でもそこであからさまに『仕事が欲しい』とやると、いやらしいでしょう(笑)。ようは自分の中で引き出しを増やしたり、人を惹きつける仕掛けを考えたりと、日頃やるべきことをやっているうちに仕事が集まってくるのが理想ですよね。そしてどの仕事でも、お客様が満足の笑顔を見せてくださる納品の瞬間を思い浮かべて、できることすべてを注ぎ込むのが当社のモットーです」。
今後は自社サービスをバージョンアップし、より積極的な営業活動も視野に入れている。自社製品と人材力の2本柱に支えられた企画力を前面に打ち出し、新たな出会いの輪を広げていく。


アットプラスデザインのオフィス風景。
ここから人材力となるプロデューサーの輩出を目指す。


●株式会社アットプラスデザイン 
ウェブサイト http://www.atplus-design.com/
〒003-0005 札幌市白石区東札幌5条1丁目1-1 札幌市産業振興センター3F A-1
TEL.011-887-6031/ FAX.011-887-6032

取材・文 佐藤優子