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(有)百景広告社 "アイデア+行動力"で築いたコンテンツホルダーへの道

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(有)百景広告社は、2004年4月に設立され、札幌市デジタル創造プラザに入居。 1ヶ月分のお料理レシピが掲載されているフリーペーパー「クイッキング(QuiCooking)」を編集・発行している。札幌市内のスーパーでよく目にするこのフリーペーパーだが、実は、全国37都道府県で発行されている"全国紙"。
社員7名、札幌市内にある企業が、全国展開のフリーペーパーを発行できるのはなぜなのか。設立から3年の軌跡を、同社・取締役営業部長の野呂貴弘さんに伺った。

他ではやっていないことをする

同社のスタートは、システム開発関連企業で同僚だった宮本勝徳さん(現・百景広告社代表取締役)と野呂貴弘さんが、2人で独立して起業。
独立半年前に、札幌市内に大小200社以上ある広告代理店の中での生き残りをかけて、"オリジナルの媒体が欲しい"と誕生したのがクイッキングだった。
「他ではやっていないフリーペーパーにしたかったので、クーポンをつけない、捨てられないものということで、料理レシピを掲載することに決めました」という。
「最初は、毎月、できあがったクイッキングを手にスーパーを回って置いてもらいました。会社の帰りに自宅近くのスーパーに勝手に置いてきたことも(笑)」と、当時のことを振り返る。
最初は置いたままで全然減らなかったが、半年ほど経った時、あるスーパーの店長さんが正式に本部を通して全店に置いてくれることに。徐々にお客さんが持ち帰るようになり、8ページ・3万部から16ページ・5万部へと増刷。

悩んだときには先人に学ぶ

さらに、このとき、もうひとつの大きな転機がやってくる。
店舗の販促事業を展開する(株)リプライオリティという東京の会社が札幌に営業に来た際、クイッキングの存在を知り、東京で発行させてほしいとの依頼が来た。
このとき、宮本さんと野呂さんがとった行動は、「東京の会社との取引をどうしたらいいのか?悩んだ末に、まずはつきあいのある社長さんに聞いて回りました」ということだった。
その結果、ある観光関係の会社の社長さんから東京の会社を紹介してもらい、その会社を窓口にして東京での仕事を請けることが可能になった。東京で窓口となっている(株)フロンティアインターナショナルのスタッフは、札幌でそれまでのノウハウをしっかりと学び、以来、全国からくる営業の問合せ窓口となっている。


コンテンツホルダーとしてのビジネス展開

現在、クイッキングを発行しているのは、沖縄から北海道(帯広など)までの37都道府県。
レシピは、創刊以来ずっと百景広告社が毎月作成し、各地の担当企業がそれを発行している。今までにストックされたレシピの数は約1,400本。
このレシピは、クイッキングのみならず、新聞の販促媒体、企業が顧客向けに発行するPR冊子、スーパーのチラシなどにも掲載され、同社が"コンテンツホルダー"となってビジネスが展開されている。
「クイッキングの発行拡大に関しては、営業しなくても、すべて相手から来た話ばかりです。レシピ自体が商品になることも、やっていて気づきました(笑)」とは言うものの、だれもしていないものを作るというもともとの発想と、それを実現させる行動力が、ビジネスを引き寄せていることは間違いない。


"コレ"と思ったことはとことんやる

コンテンツを売りたいと思っているクリエイターへのアドバイスを聞いてみると、「コレと思ったことをバカがつくほどやってみることですかね。どこまでアホになれるか!?今振り返れば、信じられないようなことを自分もしてきましたから」という説得力のある答えが返ってきた。
最近は、北海道各地に生まれつつある"ご当地レシピ"に注目して、お料理教室やイベントをしながら次なる展開を考えているという。
『富岳百景』に因んで、"百通りの企画が出せる会社になりたい"ということから名づけられた百景広告社という社名の通り、これからも、さらなる企画が次々と生み出されていくことだろう。


●有限会社 百景広告社
〒062-0901 札幌市豊平区豊平1条12丁目1-12札幌市デジタル創造プラザ
TEL:011-823-8800 FAX:011-823-8838
Creator Profile http://s-xing.jp/db/unit/prof0087.html

取材・文 佐藤保子