前田麦 ON THE SNOW レポート
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2021年3月に実施した除雪山を使った前田麦の実験「ON THE SNOW」レポート
札幌という都市にとって当たり前に存在する雪。積もりつづける雪は道路や人が歩く道からは除雪され、雪捨て場に運ばれるものもありますが、暮らしの隣で雪山となって春の訪れまでそのままになっています。
そういった雪と暮らしていくには様々な工夫や仕組みが必要なことも勿論ですが、雪を使ったさらなる楽しみ方があっていいのではないでしょうか。
札幌でイラストレーターとして活躍する前田麦さんは、イラスト以外にも市販されているスタンプを組み合わせて作られた「STAMP BY ME」シリーズや車のライト部分を用いた「BUTTERFLIGHT」といった、既存のモノに独自の視点を加えた作品を多く発表しています。
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「STAMP BY ME」 シリーズより
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「BUTTERFLIGHT」シリーズより
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枯れ葉を動物に見立てた「LEAF BEAST」
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塩の結晶化を利用した「SALTY GOD」
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草花をグリッド上にした「BIT FLOWER」
そんな前田さんが雪で着目していたのが、ロータリー除雪車によって雪山を除雪することでできる雪山の断面壁。
垂直に削られた壁面は札幌独特のオレンジ色の街灯に照らされ、まるで太古の昔に洞窟壁画が描かれた壁面のように見えると前田さんは言います。その壁面に、まるで洞窟壁画のような絵を書いたらどうなるのか、そんなことを考えていました。
インタークロス・クリエイティブ・センター(以下ICC)が入る札幌産業振興センターの前にも除雪された雪山が多くあったため、今回はその雪山を提供。ロータリー除雪車による断面壁とまではいきませんが、どのような雰囲気になるのか実験的にやってみることにしました。
方法としては雪解け後に塗料が残らないよう、水性スプレーを用いて直接描く方法と、ステンシル技法を用いての描画。実際に現地を見ながら、どのあたりに描くか、どんなものを描くかを考えながら制作を行いました。
あいにくと近隣の街灯も白色のため、洞窟の雰囲気とまではいきませんでしたが、街灯に照らされ闇夜に浮かぶ様子は独特の雰囲気を醸し出していました。日中の日当たりが良いところでは描画した部分が他の部分より雪解けが早く、まるで彫り込んだような状態になった箇所も。
夜の写真は描画した翌日に撮影したのですが、気温の影響もありすでに薄くなっていました。その後も暖かい日が続いたため壁画は数日のちには跡形もなく消えてしまいました。また、雪山も小さくなっていったため今年の実験は終了としました。
また今度の雪の季節には、また前田さんと一緒に何かできたらと考えています。また、素敵な除雪壁面をお持ちの方(?)や企業さんがいらっしゃいましたら、実験にご協力いただければ幸いです。もしご協力いただけるという方がいましたら是非ICCまでご連絡ください。
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