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スペシャルインタビュー 札幌交響楽団コンサートマスター 大平まゆみさん ②

スペシャルインタビュー 札幌交響楽団コンサートマスター 大平まゆみさん ②

2009-07-10

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- クラシック音楽以外にも好きな音楽はありますか?

ロックバンドの「クイーン」が大好きで、ずっと崇めています。(笑)
いつも演奏会に行くときは、クルマの中でクイーンのCDをかけて、帰りも聴きながら帰ってきます。
特にフレディ・マーキュリーが大好きなのですが、あのエネルギーに圧倒されますね。
フレディの声ももちろんですが、個性的な緊張感というか、それまでになかったオリジナリティを感じます。
クラシックのコンサートだと、どんなに多くても2,000人か3,000人のホールですが、クイーンのDVDを見ると、何十万人もの人が熱狂していて、「あのパワーってなんなの?」と思います。
「彼だったらこの曲をどう演奏するだろう?」などと想像しますね。声だけでなく、彼のピアノも好きです。彼は自分が歌っているようにピアノを弾くので、私も自分が歌っているようにバイオリンを弾きたいなと思います。

- きっと大平さんなら何万人を感動させることができると思います。

ありがとうございます。がんばります。(笑)
とくにこの2~3年は、「色んなことをやりたい」という気持ちがとても強くなっています。

- 最近は病院や福祉施設を訪問しての演奏活動もされていますね?

音楽には人の心を癒し、元気にする効果があるので、それを伝える活動をしています。
病院などにいく場合は、必ず皆さんがよく知っている曲を演奏します。
文部省唱歌なども弾きますが、日本の曲はメロディがとても素敵なので、それを必ず弾くようにしているのです。バイオリンは高い音だと思われがちですが、低弦でおじいちゃんやおばあちゃんの耳元で弾いてあげると、とても喜んでくださいます。
弓を擦る音も含めて、やはり生の音は素晴らしいです。これからも、色々なところで、たくさんの方に聞いてもらえる機会を作りたいと思っています。
札響のコンサートにもぜひ足を運んでください。

- 色々なジャンルの方とのコラボレーションも期待できそうですね?

先日も、ドイツのハンブルグで活躍しているモダンダンサーとの共演で、バッハのシャコンヌを踊りにあわせて弾く機会がありました。自分も踊りながら。(笑)
踊りながら弾いたり、走りながら弾くのは私の特技なんです。
コンサートでは、必ずお客さんの前を歩きながら弾くようにしています。バイオリンを弾くと空気の振動が伝わるので、その感覚を味わって欲しくて。クラシックの定石からするとおかしなことなのですが、そういう突拍子もないことをもっとやりたいですね。(笑)

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 常に前を向いて、チャレンジを続けておられる様子がよくわかりました。
       私がチーフコーディネーターを務めているインタークロス・クリエイティブ
       センターでは、クリエイターとして頑張っていこうとしている人材のインキュ
       ベーションを行っています。これから伸びていこうとしているクリエイターた
       ちに、大平さんからメッセージをいただけないでしょうか?

 
一昨日、娘から聞いた話に感動してボロボロ泣いたんです。この日は娘が通う学校で卒業式があって、アーチストを目指している卒業生の男の子が在校生に残したメッセージのことを娘が話してくれたのですが、素晴らしい内容なので、その言葉を贈ります。

『人生は山登りだ。
山はたくさんある。
僕はいま小さな山をひとつ登り終えた。この高校を出たのは僕の小さな山だ。
次の山は大学に入ることだ。
ただ、僕は絶対に人が歩いた道は歩かない。それはマネになるから。
僕は、転んでも落ちてもいいから自分の道を歩きたい。
いつも山はある。
大学という山を下りたら、僕にとって次の山は立派なアーチストになることだ。
その山を登りきったら、きっとまた次の山が出てくるはずだ。
世界で一番のアーチストになるという山があるにちがいない。
僕はいつも山を登り続ける。人の歩いた道は歩かない。
そして、僕は死ぬ時も山を登っているだろう。
だから、みんなも自分の山を作って登ってほしい。』

- 高校三年生がこんな立派なメッセージを残すなんて素晴らしいですね。

クルマの中で娘からこの話を聞いて、感動して泣いてしまったのです。
まさに自分が今、人とは違う道を歩いていると思ったら泣けてきてしまって。
自分も死ぬ時は山を登っていたいと思いました。
この言葉を残した彼はきっと立派なアーチストになるでしょうね。
若いうちは自分が何をしたいのか、必ずしもわからないと思います。だから、色んなことをやってみるべきだと思います。色んな山を登ってみると良いですね。そのうちに自分の方向性が見えてくるかもしれない。
私は受け身でいることが一番イヤなので、常に前だけを見て進んできました。そのうちに、険しい山が楽しくなってくるから不思議です。(笑)

- 今後の活動について、何か考えているプランはありますか?

バイオリンを弾くというのは、一つの手段だと思っているんです。もしかしたら絵を描いていたかもしれないし、サッカーの選手だったかもしれない。たまたま私はバイオリンだったのだと。
そのバイオリンを通してできること、自分にできることを追求したいと思っています。
「自分の音色」、自分にしかできない音楽を作りたいです。
フレディの声が、聞いてすぐに「あ、フレディだ」とわかるように、私の音色を探し続けたいですね。

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- 最後に、SAPPOROショートフェスト(札幌国際短編映画祭)の国際審査員を
       お引き受けいただきましてありがとうございます。今回は世界97ヵ国 から
      3,411本の作品が集まりました。厳正な審査をよろしくお願いします。(笑)


とても光栄です。
普段はなかなか映画を観る時間がないのですが、時期がきたらたくさん観てみたいと思っていたところに、今回、審査員のお話をいただいて、とても嬉しかったです。
生活のサイクルが早くなっている現代ですから、ものの真髄が見えるような短編映画や強いメッセージのある作品を観るのはすごく楽しみです。
しかも97ヵ国ですか?すごいですね。世界じゅうの人たちの価値観はみな違うので、ハリウッド映画とはまた違った魅力に触れられるのを楽しみにしています。

- 本日は長時間、ありがとうございました。
       大平さんの音色を聴きに、コンサートに足を運びたいと思います。

       バイオリンの生の音にすっかり魅了されました。(笑)
       今後ますますのご活躍を期待しています。

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<プロフィール> 札幌交響楽団コンサートマスター 大平まゆみさん 

仙台市出身。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校卒業。同大学入学3ヵ月後に、アメリカ・サンフランシスコ音楽院に招待留学。在学中、コールマン・ナショナル室内楽コンクール第1位。ダングルウッドのバークシャー音楽祭では、最優秀ヴァイオリニストとしてシルバースタイン賞を受賞。卒業後、同音楽院講師、スタンフォード大学講師を務めるとともに、欧米のオーケストラで活躍。帰国後は東京交響楽団、読売日本交響楽団をはじめ、数多くのオーケストラと共演。1998年より札幌交響楽団コンサートマスターを務める。
2008年3月には初のファーストアルバム「ALL MY LOVE」を、同年10月にはセカンドアルバム「From My HEART」をリリースし、好評を博す。
現在は、もっと多くの人々と音楽のすばらしさを共有したいとの思いから、国内外のエンターテイメント音楽事業のプロデュース、各地の病院、福祉施設で演奏を行うなど、様々なシーンで音楽を提供している。
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<インタビューを終えて>

  ICCチーフコーディネーター 久保俊哉
大平まゆみさんのインタビューを終えて、まず一番感じた事は、気持ちのいいエネルギーを発している方だなぁとつくづく思いました。お話を伺っていると、まるで心のマッサージでも受けているかのような気持ちよさとポジティブなエネルギーを感じました。
自分の発するメッセージと周りの世界が同調して、いい流れをつくっていらっしゃる。まさに生き様もメロディーやリズムに乗っているかのような気持ち良さ。そんな素敵なインタビューでした。これからもすばらしい音色を多くの人に伝えて行ってください。ありがとうございました。
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文・構成 佐藤栄一

 

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