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レポート 北海道マンガ研究会第一回例会

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8月19日、札幌市中央区にある札幌市立大学サテライトで「北海道マンガ研究会」の第一回例会が行われた。
同会は、多くの漫画家を輩出している北海道で、マンガを地域資源として位置づけ、コンテンツ産業の中核に育てていこうと、2007年春に有志が集まり発足したもの。札幌のマンガ家やゲームプロデューサー、印刷会社、大学の研究者などで構成されている。

今回のテーマは「地域資源としてのマンガと北海道の地域活力への挑戦」。
ゲストスピーカーに、人気マンガに町名が使われたことから、ファンが大勢訪れる「聖地」となった洞爺湖町役場の兼村憲三さん、洞爺湖でマンガを活用したまちおこしに挑戦する有限会社キュープランニングの北名勝正さんを迎え、多くの人がマンガの可能性について熱心に耳を傾けていた。


マンガについて真剣に議論する参加者たち


まず、同会代表の増淵敏之さんより、「湘南・鎌倉」の風景や街並みがマンガに登場することで起こる、地域経済に与える効果についての発表だ。
有名なマンガを実例として紹介しながら経済効果についての熱のこもった説明は、とても興味をひかれる内容だった。


挨拶をする北海道マンガ研究会代表 増淵さん



続いて、ゲストスピーカーの兼村さんと北名さんによる、「マンガによる洞爺湖町のまちおこしについて」。
興味深かったのは、著作権がさまざまな場面でプロジェクト進行に影響を及ぼしたということ。クリエイターにとって著作権は当然の権利だが、改めてその活用の難しさを痛感させられた。

次に、同会事務局より、4年に一度、マンガについて国際的な議論を交わす「国際マンガサミット」について。
マンガサミットは、日本を含むマンガ文化の盛んなアジアの国々で順番に開催されており、今年は9月6日〜8日まで京都で開かれる。動員数5万人以上と大規模なことから、経済効果に注目しながら、ぜひ4年後には札幌に誘致したいと話していた。


最後に、北海道初の全編マンガのフリー雑誌「コミックRAG」編集長の林優希さんが紹介された。
同誌は札幌在住のマンガ家たちの作品を中心に掲載しているが、大きな特徴は企画・運営・発行のすべてを大学生のスタッフが行なっている点だ。
東京を飛び越えて日本全国、さらには世界へと札幌マンガを広めていくことが夢と語る林さん。環境を整え、ネットワークを大きくしていけばおのずとコミックRAGのマンガ雑誌としてのクオリティもあがるだろうと話してくれた。


コミック・ラグを紹介する編集長 林さん


全体を通して強く感じたことは、コンテンツとしてのマンガの可能性だ。
他の街との差別化を図る意味でも、札幌が多くのマンガ家を輩出できる街になることは理想的である。マンガサミットの誘致をひとつの目標に掲げた同会の活動は、札幌にマンガ文化を根付かせ、世界へ向けて札幌マンガを発信していく大きな原動力となっていくだろう。


取材・文 ICC アシスタント・コーディネーター 倉本浩平