今年もバイロン・ウィーンの「サプライズ予想」が発表された。
バイロン・ウィーンは金融業界の有名人で、モルガン・スタンレー時代からその年に起こるであろう10項目を発表していて、年始の恒例になっている。
リストを簡単に紹介するとこんな感じです。
1. 2009年下半期米国内経済の回復期待からSP500は1200ポイントまで上昇。
高格付けの社債、レバレッジローン、住宅ローンが牽引して、投資家の購買意欲低下、ヘッジファンド及び投資信託の解約といった状態が改善する。
2. 金相場は1オンス1200ドルまで上昇。ペーパーマネーに対する信頼低下から中東を中心にレア・メタルへの買いが集中。
3. 原油価格が再び1バレル80ドルに上昇する。
生産性低下とアジア圏需要の上昇から需要供給バランスが崩れる。他商品の価格も上昇傾向で、いくつかの商品は2008年の最安値の倍の値段まで上昇する。天然ガスは9ドル/mcfとなる。
4. 米国債の金利低下と財務省の大幅な借り入れによりドルの価値は急落する。
海外投資家は紙幣の印刷が永遠に止まらない様相を懸念し、ドル/円は75に、ドル/ユーロは1.65になる。
5. 米国10年債が4%にまで上昇。
下半期の経済状況が回復の兆しを見せ始め、弱いドル、マネーサプライの速い伸び、記録的な赤字を背景に、エコノミストや投資家意識はデフレからインフレ懸念にシフトする。
6. 中国の経済成長は7%を上回り株式市場は活性化する。
世界的不況下における中国政府の刺激政策と効果的な行動は各国首脳はの信頼を獲得する。
この強い経済成長を背景に、国内消費者の消費意欲は上昇する一方、貯蓄率は下降する。
7. 金融セクターからの税収の減少によりニューヨーク州が破産の危機に追い込まれ、その他の州や地方自治体に波及する。
連邦政府は資金援助に踏み切らざるを得なくなり大規模な資金投入が行われる。
8. 住宅価格は秋頃底値をつけ、2008年末の価格レベルから15%下げたあたりで落ち着く。
オバマ次期大統領の景気刺激策は効果を見せ、年末に向けて経済は序々に回復する。
第3・第4四半期のGDPの成長率はプラスとなる。
9. 国民の貯蓄率は多くのエコノミストが予想している3%にまでは回復しない。
倹約の精神はアメリカ文化から消滅したように思われる。雇用の不安定さとマイナス成長により年初は貯蓄率が増加するものの、年後半から経済成長がプラスになると消費が再び加速し、2009年のクリスマス商戦は今までに無いものとなる
10. イラク民主政権の脆弱性と、タリバン支配下のアフガニスタンに対する危機懸念から、オバマ次期大統領のイラクからの兵撤退の計画はスローダウンする。タカ派的スピーチの中で彼はテロの脅威に対して、戦略地域における兵力維持を表明する。
このなかで個人的に気になった予想は、
7.の「ニューヨーク州が破産の危機・・・」
金融セクターが集中する都市ではその税収が生命線となる。同様のことが日本にも言える。東京の破綻はその他の地方自治体に波及する。民間企業の破綻を地方が尻拭いをする羽目になる。
そして4.の「ドルの暴落」。輸出産業にたよる日本経済にとって、これ以上の円高は危機的影響を及ぼす。この円高と高い法人税率により、輸出に依存する家電・自動車産業トップが海外に本社を移転する。米自動車産業ビッグ3を日本の自動車産業はなんらかの形で救済する(しないわけにはいかない)だろうし、合併も考えられる。そのタイミングで本社移転?ということも充分あり得るのではないか?円高影響で団塊世代の年金受給者の海外移住ブームが再熱する可能性もあるし・・・。金融界の破綻とメーカーの国外流出、人口減少のトリプルパンチがくれば税収は加速度的に悪化するだろう。その穴埋めをこの国の単細胞政府がどこに求めるかといえば・・・皆さん、おわかりですよね。
あと個人的には、オバマ次期政権についても懐疑的。小泉政権発足の時の浮き足立ち感とカブってしまうのは僕だけでしょうか?「CHANGE」「CHANGE」と連呼しているが、これって小泉の「改革」「改革」と同義でしょう?その後の日本がどうなったか?わかりやすいメッセージは民衆の思考を停止させるのはローマ時代から続いていること。経験不足の否めない理想主義的新リーダーがどこまでアメリカという国を牽引できるか?もしくはできないか?どちらにせよ、それは直接日本の行く末に反映される。
中国の米国債保有率が日本を抜いてトップになったし、オバマ次期政権は複数年にわたり財政赤字が1兆ドルを超えるとの見通しをすでに示している。日本はあいだに挟まれて相変わらずの風見鶏が続くだろう。ただ、その支柱を支えている土台自体もぐらぐらと崩れ始めているんだけど・・・・。
いずれにせよこれからの数年いろんなところでしっちゃかめっちゃかになること必至で、「どう巻き込まれるか」という想定プランをしっかり持っていないと吹き飛ばされてしまうゾッ。
プロフィール:
吉川徹(アートディレクター/プランナー)
1964年神奈川県生まれ
1983年渡米, Pacific Northwest College of Art 絵画科卒(BFA)
1989年帰国, 広告会社, 展覧会企画会社を経てフリー
2000年より, ロンドンに拠点を置くクリエイティブ集団tomatoのワークショップに参加をきっかけに以後, 様々なプロジェクトに参加
2004年より, 北海道札幌市の創造都市計画『sapporo ideas city』に参画
2007年, D&DEPARTMENT PROJECT札幌店立ち上げに参画


