このあいだ展覧会のオープニングの帰りに数名で居酒屋に寄ったとき、それぞれの世代の話になった。それぞれが何世代に属しているかという話。皆さんは自分の属している世代を把握してますか?
ぼくはそれまで自分が属している世代というのがなんなのか、よく把握していなかった。周りにいわれるままにバブル世代ということにその場は落ち着いたんだけど、ぼく個人としてはバブルの恩恵らしいものは特に記憶にないのでなんだかしっくりこなかった。
居酒屋の席にはまさに様々な世代が同席していた。ポストバブル、団塊ジュニア、氷河期世代、ゆとり世代・・・と割と広範囲に広がっていたわけだけれども、ぼくが驚いたのはみんな自分が何世代に属しているのかを把握していることだった。慌ててその日家へ帰ってから、ウィキペディアで調べてみると、こと細かく年代別に世代が割り振られていた。
このところ世間では景気悪化が毎日のように叫ばれている。派遣社員が次々と首を切られている。当然就職も氷河期に逆戻り。しかも新卒で正社員になれないともう正社員の道はほぼ閉ざされてしまうという。昨年あたりまで売り手市場だったらしく、一年でここまで変化するというのは結局、根元的な問題が解決されていない証拠だろう。そうやってくだらない政策に翻弄される学生を思うと心から同情してしまう。最近は公務員人気が急上昇してたり、共産党入党者数が急増していたり、どうもキナくさい空気がたちこめている。
ぼくが就職した頃、80年代の終わり頃というのは、まさに超売り手市場で、面接は入社の確認みたいなものだった。初任給も30万円がひとつのボーダーラインだったと記憶している。大した仕事もせず給料をもらい、会社を辞めてもいくらでも次はすぐに見つかった。そんな連中が、今部課長クラスに居座って、自分よりも数倍優秀であろう部下を使っていたり、人事で不採用のハンコをバンバン押していると思うとホントに申し訳なく思う。(ゴメンナサイ)
先日、雨の日に待ち合わせの時間つぶしに久しぶりにマクドナルドに入ってみて気がついた事がある。食事をしている人が圧倒的に少ない。飲み物しかテーブルにない。そして年齢層が幅広い。昔は学生のたまり場の代名詞だったのが、今は高齢のお客も多い。そのお客が皆一様にコーヒーやドリンクだけで時間を潰している。そして必ず、2、3人のホームレスが冷え切ったコーヒーカップを前に雨宿りをしている。社会的・経済的弱者のシェルターになっているのだ。そしてこれは、ぼくがアメリカで過ごしていた80年代、三菱地所がロックフェラービルを買ったり、ソニーがコロンビアピクチャを買ったり、デトロイトで日本車がハンマーでぶっ潰されていた頃のマクドナルドにそっくりだった。行き場のない若者と、失業者のシェルターとしてのマクドナルド。ささくれだった小便臭い空間にいると心底気持ちが滅入った。今、日本のマクドナルドがまさにそういう場所になっているのだ。ファストフードやファミレスなどの画一的なマニュアルで成り立っているサービス業はそのマニュアルゆえに突発的な事象に対応できない。だから、社会の歪みが一番最初に露呈してくる。
国策にしても同じ事が言える。画一的なマニュアル、それを維持しようとするがあまりにも対応が遅れ、パッチ当ての応急処置で済ましてきた。バブル崩壊以降、この国はずっとそうやって問題の本質から目を背けてきた気がする。そして今、パッチ当ての隙間という隙間から血が噴き出してきている。そして、ポストバブルの頃と比較してより致命的なのは、小泉首相のおかげで皆が痛みに耐えて頑張りすぎてしまったので、首相は気持ちよく感動して引退したけど、みんな痛みが慢性化して何も感じなくなってしまっている事だ。みんな血を噴き出しながら右往左往している。
小泉首相のあと、年単位で首相が替わっている。今の首相もそう長くはないだろう。国家の首長がそんな具合なので、就職環境の乱高下も当然の結果といえるが、そんなことは学生には関係がない。ゆとり世代の連中が今社会に出て、土日もバイトに奔走しているのをみると、日和見主義的国家の功罪は大きい。これからの数年間に起こるであろう国際的なパラダイム変化の中、この国がどれだけ軌道に乗っていられるかを考えると悲観的にならざるを得ない。
プロフィール:
吉川徹(アートディレクター/プランナー)
1964年神奈川県生まれ
1983年渡米, Pacific Northwest College of Art 絵画科卒(BFA)
1989年帰国, 広告会社, 展覧会企画会社を経てフリー
2000年より, ロンドンに拠点を置くクリエイティブ集団tomatoのワークショップに参加をきっかけに以後, 様々なプロジェクトに参加
2004年より, 北海道札幌市の創造都市計画『sapporo ideas city』に参画
2007年, D&DEPARTMENT PROJECT札幌店立ち上げに参画


